HOTEL / RYOKAN
旅館・ホテルを売却するには|売却方法・買主DD・非公開売買の実務
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旅館・ホテルを売却するには、単に査定価格を出すだけでなく、M&A、不動産売買、事業譲渡、任意売却、非公開売買のどれで進めるかを整理する必要があります。売上資料、営業許可、温泉権、従業員引継ぎ、買主DD、債権者条件まで確認して初めて、決済までの前提が見えてきます。
売り方を比較するときの前提
M&Aは、株式譲渡や事業譲渡などを含む考え方です。このページでは、運営会社の株式を譲る場合、対象事業を譲る場合、土地・建物を売る場合の違いを確認します。
任意売却は債権者と条件を調整して売る方法、非公開売却は情報の開示範囲・順序の考え方です。これらは譲渡対象の区別とは別に確認します。旅館業の事業譲渡では、事前の承認による営業者の地位の承継制度があります。契約・従業員・許認可を一律に自動承継できるとは限らないため、管轄の保健所や各専門家への確認が必要です。
用語の補足(DD・NDA・売上指標など)
- 買主DD
- 買主による資料・リスクの確認。
- NDA
- 秘密保持契約。
- VDR
- 関係者が資料を共有する保管場所。
- ADR
- 販売した客室の平均単価。
- RevPAR
- 販売可能な客室1室あたりの売上。
- FF&E
- 家具・什器・備品。
旅館・ホテルを売却するには、最初に何を整理すべきか
初めに決めるのは、売却価格だけでなく「何を譲り、何を残したいか」です。一般売却・事業承継の相談も、借入返済の問題がある場合も、次の順で整理します。
売主様は、希望時期、営業・雇用・屋号を残したいか、施設名を誰まで開示できるかをお伝えください。未定の項目や不足資料がある段階から相談できます。
旅館・ホテル売却の主な方法
表は横にスクロールして確認できます。
| 方法 | 向いているケース | 買主が見るポイント | 注意点 | ジャパンリアルターが整理すること |
|---|---|---|---|---|
| 株式譲渡(M&A) | 会社ごと譲渡したい場合 | 簿外債務・労務・契約 | DD範囲が広い | 会社資料と物件資料の切り分け |
| 不動産売買 | 物件・事業を切り出したい場合 | 物件・運営資料・許認可 | 承継手続が別途必要 | 売買前提と資料一覧 |
| 事業譲渡(M&A) | 事業単位で渡したい場合 | 契約・従業員・許認可 | 個別同意が必要 | 対象範囲の整理 |
| 任意売却 | 債権者が関係する場合 | 資金証明・決済確度 | 債権者同意が必要 | 抹消条件と配分前提 |
| 非公開売買 | 情報統制が必要な場合 | NDA後の詳細資料 | 段階開示が必要 | ティーザーとVDR構成 |
| 外国人投資家・海外買主への売却 | 海外買主が検討する場合 | 資金証明・翻訳資料・法人情報 | 専門家確認が必要 | 確認点の整理(保証ではない) |
外国人投資家への売却でも、資金計画、資料の確認、決済までの段取りが重要です。海外の買主であることだけで、売却価格が高くなるとは限りません。
M&Aで進める場合
会社ごと譲る株式譲渡と、事業を選んで譲る方法を分けます
M&Aには株式譲渡や事業譲渡などが含まれます。株式譲渡では会社の株主が変わり、会社が保有する資産・負債・契約を含めた調査が必要です。借入の個人保証や支配権変更に関する契約条項は、別に確認します。
買主の提示額が株式の価格なのか、事業全体の価値なのかを明確にし、不動産を含む範囲、現預金・借入金・運転資金の調整条件をそろえます。法務・税務の確認は各専門家と進めます。
不動産売買で進める場合
土地建物を売買する場合は、売買対象を図面・登記・設備一覧で確認します。運営会社へ賃貸している物件と、売主が自ら営業する施設では、収益の見方や引継ぎが異なります。
- 賃貸・運営委託契約の存続、承諾・通知、敷金等の精算を確認。
- 備品・私物・リース品を分け、価格に含むものと撤去するものを合意。
- 営業者が変わる場合は、許認可、従業員、予約、前受金等の手続も確認。
事業譲渡で進める場合
事業譲渡では、引き継ぐ資産・契約・営業の範囲を個別に決めます。土地建物が含まれるか、借地や温泉利用、雇用、予約、仕入先、OTA・PMS等をどう引き継ぐかを一覧にします。
営業許可の確認:旅館業の事業譲渡には、あらかじめ承認を受けて営業者の地位を承継する制度があります。一部事業のみの譲渡や大幅な施設変更などは扱いが異なります。承認前に譲渡の効力が発生しないよう、日程を管轄の保健所へ事前に確認してください。厚生労働省の制度案内(PDF)
労働契約の承継は、従業員本人の真意による承諾が必要です。説明の時期・担当、雇用条件を、売主・買主と弁護士・社会保険労務士等で確認します。厚生労働省の労働契約承継に関する案内
任意売却で進める場合
債権者条件、抹消、配分、決済時期の整理が必要です。成果を保証するものではありません。
非公開売買で進める場合
従業員や宿泊客への影響を抑え、NDAと段階的開示で進めます。
外国人投資家・海外買主に売却する場合の確認点
国籍や居住地ではなく、資金計画、取得目的、DD対応力、決済可能性を確認します。法務、税務、外為法、在留資格、法人設立、融資、翻訳認証等は専門家確認が必要です。
買主DDで見られる資料
買主による詳細調査(DD)では、次の4分野を分けて確認します。
収益・販売実績
- 月次売上・稼働率
- ADR(販売した客室の平均単価)
- RevPAR(販売可能な客室1室あたりの売上)
- OTA(宿泊予約サイト)別売上
許可・権利
- 営業許可
- 消防関係の資料
- 温泉権
設備・運営の引継ぎ
- FF&E(家具・什器・備品)
- 従業員に関する資料
- 修繕履歴
借入・債権者
- 借入に関する資料
- サービサーからの通知
売却前に整理すべき資料 / 相談前チェックリスト
表は横にスクロールできます。
| 確認すること | 手元にない・未定の場合 |
|---|---|
| 売却する対象 | 土地建物、株式、事業のどれを譲るか。未定なら所有・運営の関係から確認。 |
| 売却の希望 | 希望時期、価格、営業・雇用・屋号、売却後の運営への関与を整理。 |
| 資料の有無 | 登記、売上・経費、営業許可、修繕・契約資料。手元にある分と不足分を区別。 |
| 借入・担保 | 残高、抵当権、差押え、サービサー通知。通知や期限がある場合は先に共有。 |
| 情報の開示範囲 | 施設名、資料、内見を、どの相手へどの段階で認めるかを相談。 |
よくある質問
- 旅館・ホテルを売却するには何から始めますか?
- 売上資料、営業許可、温泉権、従業員、借入・サービサー通知の有無を整理します。資料が揃っていなくても相談できます。
- M&Aと不動産売買のどちらがよいですか?
- 簿外債務や労務リスク、買主属性により異なります。両方の前提を分けて整理します。
- 外国人投資家への売却は価格が高くなりますか?
- 一概には言えません。資金計画、DD対応、物件状況により結果は異なります。
- 任意売却でも相談できますか?
- 相談できます。債権者条件と買主DDを分けて整理します。成果を保証するものではありません。
- 非公開で進められますか?
- 可能です。NDAと段階的開示で進めます。
この記事の実務監修者
堤 誠之(ジャパンリアルター株式会社 代表取締役)は、一棟収益不動産、旅館・ホテル、サービサーが関係する任意売却、非公開売買、買主DD資料の整理に関わってきました。
旅館・ホテル売却では、売買価格だけでなく、営業許可、温泉権、従業員引継ぎ、売上資料、FF&E、債権者条件、買主DDを整理することが重要です。ジャパンリアルターでは、不動産売却実務の側面から、売主、買主、専門家、債権者の確認事項を分けて整理します。
当社は不動産売却実務および仲介を行う会社であり、法務・税務・登記・労務・許認可判断を代行するものではありません。個別具体的な判断は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士等の専門家に確認する必要があります。個別案件の成果を保証するものではありません。



